2001北海道 10

11日目 9月1日(土)
釧網本線、根室本線(花咲線区間)、納沙布岬

11日目 乗車列車一覧
乗車駅 下車駅 乗車駅
発車時刻
下車駅
到着時刻
列車番号 種別 愛称 経由路線 車両形式*両数 備考 写真
札幌 網走 22:09 6:15 19D 特急 オホーツク9号 函館本線
石北本線
キハ183*7
+ 14系寝台*1
気動車で寝台車を挟み込み(挟み込み位置不明) なし
網走 釧路 6:42 9:59 4725D 普通   釧網本線 キハ54-500*1 ワンマン
中央に向いた固定クロスシート
釧路 塘路 10:58 11:40 9344 臨時 くしろ湿原ノロッコ4号 釧網本線 DE10
+ オハ510
+ オハテフ510*2
+ オクハテ510
くしろ湿原ノロッコ専用編成
塘路 釧路 12:07 12:54 9343 臨時 くしろ湿原ノロッコ3号 釧網本線 DE10
+ オハ510
+ オハテフ510*2
+ オクハテ510
くしろ湿原ノロッコ専用編成
釧路 根室 13:09 15:24 5635D 普通   根室本線 キハ54*1 ワンマン
転換クロスシート
なし
根室 納沙布岬 15:50 16:25 - 普通   (太平洋回り) ? ワンマン
中型?路線バスタイプ
根室 札幌 20:48 5:50 9646D
4014D
快速
特急
まりも 根室本線
石勝線
千歳線
函館本線
キハ183*2
+ 14系寝台*2
+ キハ183*1
  なし

釧網本線を乗り通して釧路へ

海沿いを走るが大して感動する眺めではなかった。冬来れば感動的な景色となるのだろう。(止別〜知床斜里)

網走に到着したのは6時過ぎ。他の夜行列車の終着駅到着時刻と比べれば遅いほうなのだが、この時間では網走の街はまだ静まりかえっていた。以前もこの列車で網走に来たことがあるのだが、こんな時間では何もすることがない。仕方がないので今回はコンビニで朝食を買いこんでそのまま釧網本線に乗り継ぐことにする。

釧網本線はその名の通り釧路と網走を結ぶ路線である。北海道を代表する2都市を結ぶ路線だが優等列車は全く運行されていないどころか、全線を通して乗れる列車は1日4往復しかない。途中下車をするには非常に利用しづらい路線である。北海道の人の流れは札幌のみを向いていることがよく分かる。特急を走らせてくれればかなり便利になると思うのは私のような鉄道旅行者だけなのだろう。赤字路線で廃止候補にも挙がったが乗客1人あたりの平均利用距離が長いため廃止を免れたという話も聞いている。

列車は当然のように単行列車。そこそこ利用者が多く、良い席を確保するために並んだのだが、乗り込んだのが前側のドアだったのは失敗だった。というのも使われていた車両は車両中央に向いた固定クロスシートで、中央から前の座席は進行方向とは逆向きに座ることになるのだった。お陰で終点まで後ろ向きに座る羽目になった。同じキハ54でも転換クロスの車両もあり紛らわしい。

釧網本線は最初の内は草原が広がる景色が延々と続く。海の近くを走っているがあまり海の眺めは大して良くなかった。この路線に乗るのは2度目で、前回は単調な景色に飽きてほとんどの区間を寝ていたので今回は全線起きていようと思っていたのだが、ついうとうとしてしまって最も景色を見たかった緑〜川湯温泉の山越え区間を見逃してしまった。釧網本線を全線眠らずに過ごすのは案外大変かも知れない。後半はうとうとしていてあまり景色を覚えていない。気付いたら釧路に到着してしまったという感じである。

釧路からノロッコ号で塘路まで往復

塘路駅駅舎。木造の洒落た駅舎で、ノロッコのために建てかえられたのだろう。 折り返しのノロッコは客車を先頭に進んでいく。
塘路駅ホームはノロッコの乗客で大混雑。 ノロッコ3号は終着の釧路では機関車がホームからはみ出して停車。

釧路からはそのまま根室本線に行くことも考えていたが、それでは根室に早く着きすぎてこの日の宿である「まりも」の出発まで時間をもてあましてしまうことが予想されたので、ちょうど良い時間にあった「釧路湿原ノロッコ」号で塘路まで往復することにする。このノロッコ号は是非乗りたいと思っていたが、時間の関係で無理そうだとあきらめていたのだが、台風のせいで北海道入りが早まったために日程に余裕が出来たので今回時間を作ることが出来た。

せっかく指定席が連結されているので往復分の指定を押さえて列車に乗り込む。座席配置が特徴的で進行左側の席は6人1ボックスのボックスシートのような配置、右側は2人1つのベンチのような座席になっていた。指定された席はボックス席で、シーズンが終わる頃なのであまり利用者はいないかと思っていたのだが思ったよりは利用者が多く、同じボックスに家族連れが乗ってきたのでこちらは自由席に移動する。指定1両、自由3両だからか自由席の方が空いている感じだった。こういう列車はグループ利用が多く、そのようなグループと同じボックスになると肩身が狭い。

車内では車窓の案内がされ、見所では徐行運転などもあった。車掌がまわってきて乗車記念証が配られた。車掌は乗客への案内役とドア扱いなどをする人の2人乗っていて、その他に案内放送をする女性と運転手も乗っているわけで、ワンマンの列車と比べてずいぶんと人手をつぎ込んでいるという印象を受けた。

塘路駅前ではノロッコのために作られたと思われる売店などがいくつかあり、折り返しまでの時間を楽しめるようになっていた。今回は利用しなかったが「塘路ユースホステル」が駅のすぐそばにあり、駅近くの便利なユースの1つといえるだろう。駅舎はノロッコのために建て替えられたようで新しい木造の駅舎だった。無人駅だがノロッコの車掌が臨時の駅員をやっていた。

駅前をうろうろしているとすぐに折り返しの発車時間になったので列車に戻る。駅での機関車付け替えが面倒なので折り返しの列車は客車を先頭にして機関車が一番後ろから押していく形になる。このために客車に運転台が付けられていた。

今度は隣に来る人がいなかったので指定席に座る。指定席の車両には案内役の女性が乗っていて、この女性が車窓案内やグッズの販売をしていた。指定席はバスツアーの乗客が利用していてかなり混んでいた。ダイヤ設定状ほとんどの人は往復利用なのではないかと思っていたが、このような片道利用客も多いのだと分かった。

終点の釧路では機関車がホームからはみ出して停車。ホームの長さが足りないわけではなく、客車を階段に近い位置に止めるための措置だったようだが、機関車の前で記念撮影をしたかったらしい人も多く、残念がっている声が聞こえてきた。このような人も多いのだから機関車もホームに入れるべきだろう。

根室への普通列車は予想外の混雑

釧路まで戻って次は根室行き普通列車に乗り換える。これから乗る根室本線の釧路〜根室は「花咲線」という愛称がついている。列車体系も釧路で完全に分かれていて直通する定期列車はない。根室も有名な街なので特急を走らせれば利用客はありそうに思うのだが、道路状況がよいのでバス利用が主流なのだろう。

根室で乗り込んだ列車は高校生の帰宅と重なったため立ち客がかなり出る状態。高校生でもそこそこ長距離の利用者が多くなかなか空かない。普段は1両でよいのだろうが土曜日だけ2両にするといった柔軟な対応は出来ないのだろうか。

列車は森林の中を走っていて景色は良くない場所が多いが、途中厚岸近くでは湿原の脇を通りなかなか良い景色だった。また、終点近くでは太平洋も一瞬眺められた。

納沙布岬に足を伸ばす

事実上の日本最東端、納沙布岬。 北方領土記念館からの眺め。遠くに北方領土が見えたのだが写真では判別不能か。

根室からはせっかくなので納沙布岬まで足を伸ばすことにする。駅から岬まではかなり距離があり、バス料金が往復1880円(往復割引使用)もするのは痛いがこの際仕方がない。

納沙布岬行きのバスは最初は高校生の帰宅バスとして利用されていたが、市街を抜けると岬まで行く観光客だけになる。岬までの利用者は少なく、多くの人は車で行くのだろう。

納沙布岬に降り立つと非常に寒い。風も非常に強く長時間外にいられないくらいの寒さである。襟裳岬も風は強かったが寒くはなかった。前年に宗谷岬に行ったときより寒かったと思う。岬には北方領土返還を求める碑やモニュメントなどが至る所にあり、他の岬とはまた違った感じである。

北方領土記念館のようなものがあり、その中には北方領土やロシアの巡視艇を見るための望遠鏡やその説明パネルなど興味を引くものが多くあり、思わず見入ってしまった。まだ見たかったが記念館は17時(17時30分だったかも)には閉館となってしまったので外に出ると寒さは更に増している。

土産物屋なども見たかったので17時5分のバスは見送り、18時35分の最終バスで帰ることにしたが、土産物屋を見るだけでは時間がつぶせない。少し離れた場所に展望台があったのでそちらに行ってみたのだが、かなり高い料金を取られるようだったので断念。そのうち土産物屋も店じまいを始めてしまった。とりあえずまだ開いていた食堂で夕食を食べることにする。少し高い気がしたがちょうど良い時間つぶしになると思い安めの「かにカレー」を頼む。ライダーハウスもやっている店のようで、壁にはお礼の手紙などがびっしり貼られていた。店の人と話をしながら食べていたのだが、もう店じまいして帰るから私が食べ終わったら駅まで送ってくれるといわれたので、このまま岬にいても寒いだけなので送ってもらうことにした。車の中でもいろいろ話をしたが、なかなか面白い人だった。店の名前を忘れてしまったのが残念。

駅で時間を潰しまりもで札幌へ

駅に着いたのは18時過ぎくらい。夜行列車「まりも」の出発は夜行列車としてはかなり早い20時48分だが、それでもこの時間になると(この時間でなくても似たようなものだったが・・)駅前はひっそりしていてすることがない。外は寒いので駅の待合室ですごすが、今後の予定はもう決めてあって変更のしようがない状態だったので予定を考える必要もなく、退屈な時間だった。

ようやく「まりも」の出発時間となり列車に乗り込む。この列車は普段は釧路発着の列車だが、夏休み期間中の一部の日だけ根室まで延長運転されていた。この列車を利用すれば退屈な花咲線を昼間の貴重な時間を使って往復する必要もないので非常に便利な列車だった。出発が早いので充分な睡眠をとることが出来るのも有り難い。特急車両が根室まではいるのも非常に珍しいことだし、是非乗ってみたいと思って花咲線を1.5往復することになるのを覚悟で半ば強引に計画に組み込んだ列車である。よってこの花咲線には2日後にまた訪れることになる。

せっかくの「まりも」根室延長だが、根室から乗り込んだ人は僅かで寝台もほとんどが空きである。延長区間の乗車率は15%くらいだったのではないだろうか。これでは来年の延長運転はないのではないかと思えてしまった。ほとんどの人は釧路からの利用なので釧路に出来るだけ早い時間につけるように花咲線区間は目一杯のスピードで飛ばすので乗り心地が悪く、時間もまだ早いためなかなか眠れなかった。


前のページへ 目次ページへ 次のページへ