山内から先は地形が険しくなってくる。この辺りは比較的最近道路化されたようで、道路が新しかった。矢部線のみどころはここからといえるだろう。
一旦北に向きを変えて星野川に沿ったところで道路は新しい橋で川を渡っていたが、線路跡はそのまま川沿いに進んでいるのが分かった。線路跡は車で進むのは厳しそうだったが、歩くことは出来そうだった。その先、宮が原集落を抜けて川を渡っていた部分までが唯一道路化されないで残っていた。新しい橋を架けたと言うことはこの部分は今後も道路化されないで残るのだろう。道路化されていない区間は1.2Km程度である。私は今回時間がなかったのでこの部分を詳しく見ていないが、時間があれば徒歩で進んでみると良いだろう。この区間にはトンネルがあり、通り抜け可能なようだ。
宮が原集落で星野川を渡っていた。橋梁は取り外されていたが、宮が原集落側のコンクリート橋脚が残っていた。橋脚が高いのはおそらく川を渡ったところで県道をオーバークロスしていたからだろう。
川を渡った先は再び道路化されている。その道路を少し進むと上陽町の中心部で、ここに北川内駅があった。地域福祉センターとなっているところが北川内駅跡ということだ。ここも駅跡らしい物は見あたらない。
駅を出た先もそのまま両脇の民家と同じ高さで道路が続いているが、線路はここから標高を稼いでいた様子で、築堤になっていたと思われる。道路は県道70号につき当たって途切れるが、その上部に北川内トンネルが残っているのが確認できた。線路は急カーブしたトンネルを通って南に向きを変える。曲がりくねった県道で山を越えた先の出口も簡単に確認できる。
北川内トンネルを出た線路跡は再び道路になっているが、この部分の道路は路盤の幅をそのまま舗装しただけの生活道路である。南東に向きを変えてどんどん上っていたが、この部分に丙号のキロポスト(100m単位の距離を表す小さい物)を発見。緩やかにカーブする築堤は現役時代が想像できる。
1Kmちょっと上ったところで黒木町との間を中原トンネルで抜ける。トンネルは酒の倉庫となっていた。
再び曲がりくねった県道で黒木町側にまわり、トンネル出口を確認する。こちらも路盤は道路になっていて出口まで簡単にいくことが出来る。
トンネルを出ると下り勾配で、下りきったところで右カーブで県道を渡り、黒木駅へと入っていた。県道から駅跡部分を貫いて2車線道路が通っていたが、駅跡部分はさすがに広く、道の両側はイベント広場や駐車場などになっている。その一角には蒸気機関車と駅名標が展示されていた。
ここから先は矢部まで延長する計画があり、更に矢部から宮原線肥後小国まで延長するような計画もあったようだが、工事は行われていないようだ。
矢部村は前日の夜に通ったのだが、役場の明かり以外明かりらしい物もほとんど無く、こんな所に駅を作っても利用客はとても見込めなかっただろうと思えた。
更にその先小国町まで車で走ったのだが、この間の中津江村、上津江村は急カーブ急勾配の連続する道路を延々と走らねばならない山奥で、線路を敷こうと思えば相当な費用が必要になっただろうから、たとえ着工していても完成はとても見込めなかったであろう。