延岡から高千穂を経て熊本までを結ぶ九州横断路線の一部として建設が開始されたのが高千穂線である。昭和41年、延岡から日之影まで開業していた日之影線と、豊肥本線宮地から高森まで伸びていた高森線を繋ぐ路線として工事が開始された。
昭和47年に日之影〜高千穂間が部分開業し、延岡〜高千穂間が高千穂線と改称された。更に昭和52年の完成を目指して残りの高千穂〜高森間の工事が開始された。しかし、高森トンネル掘削中に異常出水に見舞われて工事が中断してしまう。それでも、高千穂側からの工事は進捗していったが、国鉄の財政悪化で昭和55年に建設予算が凍結、全線の30%が完成した状態で工事はストップした。
さらに高千穂線と高森線が廃止対象になり、新線建設どころではなくなり、両線は何とか第3セクターとして存続したが、建設中区間まで引き受ける余裕はなかったようで、用地と施設は清算事業団に譲り渡される。その後、高千穂町内の区間は高架橋などが解体されて町に引き渡され、用地の60%は旧地権者に払い下げられた。
高架橋はほとんど消滅したが、トンネルや橋台などの跡は残っているので、予定線の跡を辿ることは難しくない。
駅名 | 読み | 駅間距離(Km) | 累計距離(Km) | 開業年月日 | 廃止年月日 | 備考 |
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高千穂 | たかちほ | - | 0.0 | 未開業 | 高千穂線開業区間接続 | |
上野 | かみの | 4.0 | 4.0 | |||
田原 | たばる | 7.0 | 7.0 | |||
河内 | かわち | 2.6 | 9.6 | |||
日向泊 | ひゅうがどまり | 6.3 | 15.9 | |||
高森 | たかもり | 7.1 | 23.0 | 高森線接続 |
高千穂駅でレンタカーを借りて高千穂から高森に向かって調査してきました。夕方調査を始めて、次の日の朝に残りの区間を調査しました。所要時間は合計5時間程度です。この後高千穂から高森にバスで移動する必要があったため時間に遅れるわけにはいかず、焦り気味の調査になってしまいましたが、全線の調査をすることが出来ました。
高千穂から高森までは予定路線では23Kmなのですが、車だと山道を走らなくてはならず1時間近くかかりました。鉄道が出来ればかなり時間短縮になったでしょう。
高千穂町側はトンネルと高架橋が交互に続くような線形でしたが、高架橋が取り壊されてしまっています。しかしその跡は比較的はっきり残っていました。高千穂から上野駅予定地までは国道沿いですが、田原地区の高架橋跡は国道から離れています。その先のトンネルは着工されていないらしく、予定地も分かりませんでした。
河内駅前後、日向泊前後もトンネル、明かり区間共に工事跡はないようでした。日向泊駅予定地に行くには山道をかなりの距離走る必要があり、時間に余裕が必要です。そして、行っても何もありませんでした。新高森駅予定地は湧水公園として整備されていて、案内看板などもあるのですぐに分かります。駅からはかなり(500mほど?)距離があり、歩く場合は時間がかかりそうです。
高千穂〜高森間は特急バスが何本か走っていますが、このバスは五ヶ瀬町経由なので線路跡は全く見られません。それとは別に線路跡に沿った高千穂〜河内、河内〜高森に路線バスが走っています。河内〜高森のバスは日向泊(この名前のバス停はない)を経由してくれますし、高千穂〜川内のバスも国道を離れて田原地区を経由する便があるようで、線路跡を見るには非常に好都合な経路です。本数は非常に少ないので利用する場合はあらかじめ調べておきましょう。