現在の室蘭駅は1997年にこの位置に移転してきたもので、旧駅の面影など全くない。新しくてきれいな駅だが、室蘭という大きな町の駅にしてはこぢんまりしている印象を受ける。駅のホームも1面2線と最低限の配線で、細々と旅客輸送を続けているのみと言う印象である。
駅のすぐ手前にトンネルがあるのだが、そのトンネルの脇に今は使われていないトンネルが放置されていた。
そのトンネルをたあたりから線路の付け替えが行われたようである。現在線は真っ直ぐ室蘭駅へと入っているが、かつては緩やかに北寄りにカーブし、現在の駅の横を通って室蘭駅構内に入っていたようだ。現在線は僅かに右カーブして室蘭駅となるが、読者からの情報によればかつてはそのまま真っ直ぐ進み、現在の駅の脇(中央町側)を通って右カーブし、現在の駅前広場あたりを通って旧駅まで伸びていたらしい。
かつての室蘭駅構内は現在の駅のすぐそばから始まっていたようで、そこは今でも広大な空き地となって残っていた。室蘭駅は貨物駅の性格が強かったはずであり、それだけにかなりの広さを誇っていたようである。
構内跡の空き地は草むしているが、その一部では何やら工事が行われていたし、更に他の部分では道路工事が行われていた。町中にあるためこの土地もそれほど長くは残らないだろうと思われる。
構内跡の空き地沿いにしばらく歩くと旧駅舎にたどり着く。明治45年から平成9年まで使われていた駅舎で、北海道の駅舎の中では最古の木造建築物だそうである。国の登録有形文化財に指定されているので今後も末永く保存されていくものと思われる。駅舎内は観光案内施設と室蘭駅の記念品展示コーナーがあった。記念品展示コーナーはたいした規模ではなかったが構内配線図や国鉄の「いい旅チャレンジ20000km」のときに作られたポスターなど興味を引くものが展示されていた。
駅舎内に展示されていた構内図を見ると、この先港まで貨物線が延びていて、港近くには西室蘭駅という貨物駅があったことが分かった。よって更に港まで歩いてみることにする。
駅裏は一部が舗装された駐車場になっている他はまだ草むらのままだった。良く探せばホーム跡などが有ったかも知れないのだが立ち入り禁止だったこともあり詳しくは探していない。